自由民主党参議院議員で元国務大臣の猪口邦子氏とリセ・ハワードACUNS会長、フランツ・バウマンACUNS次期会長が国連を中心にした多国間主義の意義について議論した(19/6/2024)

自由民主党 猪口邦子 参議院議員 元国務大臣

解決志向の多国間主義の重要性を指摘されたが、知識基盤型の多国間主義をいかにして実現できるかお尋ねしたい。多国間主義は時として力や政治主導となる。どのようにして国家の行動を変えられるのか。ここで行動科学の研究が多く必要となる。また、多国間主義を打破するには哲学や理念、知識が必要である。言及された専門機関は、特定分野での理念と知識を基に活動し、新たな概念を提供してきた。これにより国家は価値観に合致した政策目標を見出すことができる。しかし21世紀の多国間主義は、強固な知識基盤型の力で再構築される必要があると考える。ここで国連大学やその他機関が前面に出て知識を提供し、国連内の専門機関も学術界や大学と連携して知識生産に一層力を入れるべきである。そうすることで多国間主義はより良い解決策を提供できる。これは単なる証拠基盤ではなく、むしろ哲学や理念に基づくものである。学術的価値観や探究が、より良い解決策を提供するために多国間主義にどのような影響を与えられるか伺いたい。

リセ・ハワード ACUNS会長 

第一に、知識は力である。両者に違いはなく、同じものである。かつては力が正義を生む世界に生きていた。我々が目指すのは、正義が力を生む世界に生きることである。つまり、正しい道を考え、正しい道を見出すことが力の源となるのである。

 

フランツ・バウマン ACUNS次期会長

国連は実際に知識の機構であると付け加えたい。例えば、私が主に携わる気候変動の分野では、ナイロビの国連環境計画が毎年、各国の気候変動対策に関する公約と実際の取り組みの差を示すギャップレポートを作成している。国連は他者が考えもしないようなデータを見出し、予測する能力がある。世界中の国立科学アカデミーが気候変動の危険性について一致した見解を示しているが、これは国連を通じて調整されている。このように、国連の価値は議論の余地のない事実に基づく記録を作成することにある。

これらの取り組みを軽視すべきではない。なぜなら、今日国連を設立しようとしても実現しないことは明らかだからである。米国が国連憲章を批准したのは1982年だが、今日の米国がそのような憲章を批准すると思うか。我々は危機後に創設された機関であり、同様のものが再び生まれることはないため、この機関を繁栄させる必要がある。

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